大分カイコウ OITAKAIKOU

REPORT

Camp

2019.12.10

大分カイコウcamp Vol.2「観光」~インバウンド観光客に響く、大分の観光コンテンツづくりとは?~を開催しました。(1日目)

11月21・22日に大分カイコウcamp Vol.2を開催しました!

大分カイコウとは?

大分にゆかりのあるビジネスパーソン同士が、既存ビジネスの発展やまったく新しいビジネスの創発や興隆を目指して一堂に会する。ジャンルの垣根なく、人・ものごと・ビジネス・思想など、あなたと誰かの邂逅(思いがけない出会い)が生まれるかも知れない… そんな場を提供する大分カイコウ。

さて、会場は前回と同じくホテルニューツルタ 2階「花紋」。前回の人数を超える50名近くの参加者で、会場はいっぱいになりました。今回は「観光~インバウンド観光客に響く、大分の観光コンテンツづくりとは?~」をテーマに、杵築市観光協会<事務局長>三浦孝典さんの講演、トラベロコの<PR・広報担当>岡慧隼さん・フリーライターの伊佐知美さん・TABIPPOの<イベントマネージャー>小泉翔さんによるトークセッションを行いました。「観光」「インバウンド」と今もっとも注目されているキーワード。トークセッションでは、参加者の方の疑問や質問に対しても様々な意見が出ており、大いに盛り上がりをみせていました。それでは、1日目の様子をご紹介します。

ラグビーワールドカップで学んだ事とは?

まずはじめに、杵築市観光協会三浦孝典さんによる講演です。三浦孝典さんは東京のテーマパークに勤務後、2011年から杵築市観光協会の市役所から分離独立後の初代事務局長として観光に長年携わっています。そこで、杵築市が今までどのようにして観光にチカラをいれてきたのか、また、今年行われた「ラグビーワールドカップ」へのインバウンド対策やその結果などリアルな現場のお話をしていただきました。

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今年、ラグビーワールドカップの開催地として大分が選ばれ、その際に観光として様々な対策をしてきたそうです。今までの経験上コケてしまった事もあり、初回観光客に好まれるコンテンツと、リピート観光客に好まれるコンテンツは違う事を意識して設計していく大切さに気づいたそうです。ラグビーのお客さんは長く滞在する事が多く、「滞在プログラム」として宇佐神宮に回ったり大分で有名な温泉に入りリフレッシュをする「必勝祈願ツアー」を提案していたのですが、参加者は増えなかったようです。その要因としては、「ラグビーワールドカップを見に来る観光客の方々は「大分」に来たくて来ているのではなく、「ラグビー」を見に来ているということ」そのため、大分県内の観光ツアーをしても響かずに終わってしまったのだとか。

8対2の法則の効果とは

過去に東京にあるテーマパークで働かれていた時に感じた「8対2の法則」。こちらの法則は良く耳にするのではないでしょうか、ある時三浦さんは「8対2の法則を元に売れる物2割を選りすぐって陳列すること」を意識して実行してたところ、売れ行きの良い選りすぐりを選んだはずが、そこでまた「8対2の法則」が産まれたそうです。この経験をもとに、良いものを作っても2割のものしか売れず、そしてどれが売れるかも予測はできないため、とにかく並べて実践してみることが大事なのだとお話していました。

体験プログラムの充実化

長年観光に携わっている三浦孝典さんが、今後ニーズがあるのではないかと考えているものは「体験」。実際杵築市は、着物レンタルのように観光客に「着物体験」をしてもらう事により知名度を上げていき、「着物の似合う町」としても有名になりました。

 

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新しい物を開発し名物を作るのではなく、地のものを活用していくことが重要とのこと。その地ならではのアクティビティを提供することで、付加価値を上げていくのだそうです。
また、体験プログラムの予約システムは「前日まで申し込み可能」にしておくこと。ホテルのフロントやお店にチラシを置くと、例えば2泊3日の観光客が手にとったときに「一週間前までに予約」だと、せっかくのいい体験プログラムで参加したいと思っても、間に合わないために参加を断念せざる負えなくなってしまいます。そのため、「前日まで申し込み可能」が重要になってくるのだそうです。

参加者からの質問

参加者からの質問タイムでは「観光客の方に自社の観光コンテンツを知ってもらうには、どのような事をするのが効果的なのでしょうか?」とみんなが知りたいところをズバッと聞いてくれました。その問いに対し三浦さんは、「一番効果的なのは、アナログなのですが旅館やホテルのフロントなどお客さんの目に見えるとことにパンフレットを置く事ですかね。ここは、地域にいる私たちにしかできないことです。その際、先程も申し上げたように体験プログラムを前日まで予約可能にすることが重要なんですね。」

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他の参加者からは、「大分県のイメージは温泉がある・留学生がたくさんいる・シニアが多いことなのですが、これから温泉をどのように活かすべきなのでしょうか?大分県=温泉のイメージが強いなか、次のPRポイントとしてどのような工夫をすれば伸びていくのか?」という質問がありました。三浦さんは「温泉は入ってなんぼなので、まずは入ってもらう事が第一でインバウンドの課題としてはやはり「交通手段」です。観光客の方にとっては非常に分かりづらいので、どこのバス停でどこ行きのバスに乗ると着く、といった情報を載せておいたほうがよいですね。また、今すでに行われているのですが「機能温泉浴」という異なる泉質を組み合わせて入浴することで相乗効果を期待する入浴方法を推薦してます。これは一つの街の中にいくつもの温泉成分の異なる温泉が湧いている、別府ならではの楽しみなのではないでしょうか。」と、交通手段の明確さ・機能温泉浴の紹介をしていました。

観光にまつわるトークセッション

三浦さんの講演の次は「インバウンド観光客に響く、大分の観光コンテンツづくりとは?」というテーマでトークセッション行いました。登壇者の方は、先程に引き続き三浦孝典さん、岡慧隼さん、伊佐知美さん、小泉翔さん、ファシリテーターは株式会社ASO宮井智史さんです。今回名刺を交換した数が少ない順番で自己紹介をする斬新な決め方で始まったトークセッション。まずは一番名刺が少なかった小泉翔さんから。

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小泉翔さんは大学在学中にアメリカに留学し、そのまま世界一周の旅に行き帰国後にTABIPPOを設立。世界一周中は月に10カ国ほど周ることもあり、その時体験した自分の経験などをもっと世の中に発信して、若い人たちにも知ってほしいと思い情報発信を行ったり、2000人が集まるイベントを開催したりしていました。株式会社TABIPPOでは、旅に関するイベントやWEBメディアでの情報発信、本の出版などに携わっています。

次に名刺の少なかった岡慧隼さんによる自己紹介。これまでの経緯として、高校生のときにアジア関連のコンサル企業に見習い後、卒業と同時にミャンマーへ。日本人の知り合いに紹介してもらながら、ミャンマー事情について取材をして回ったり、東南アジアで医療系のNPOに勤めたりしていました。その後日本に帰ってきた際に、母校である立命館アジア太平洋大学(APU)で法人化したばかりのトラベロコに出会い、社員として入社しました。株式会社トラベロコでは、海外に住んでる日本人と、現地へ訪れるの日本人をつなげるマッチングサイトの運営をしています。その中で岡さんは企画やPR広報に携わっています。

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最後に一番名刺の多かったフリーライター伊佐知美さんの自己紹介です。現在はフリーライターやフォトグラファー、旅関係のPRのお仕事をフリーランスとして行っています。経歴としては、出版の仕事に憧れて出版社へ就職したのですが、場所にとらわれず働けるライターやフォトグラファーに憧れて20代後半ごろからフリーで働いてきました。2016年からは「旅×仕事」をテーマに世界一周しながらのノマドワークをはじめ、これまで海外50ヵ国200都市ほど旅をしてきたそうです。これまでに『灯台もと暮らし』をはじめとする地域メディアの立ち上げや、移住や旅に関するメディアのコンテンツ企画など、様々なメディアの立ち上げに携わってきました。

トークセッションがスタート!

今回の参加者の中には観光関係の方が多く、特にPRを強化したい方が大半を占めていたため、PRや広報担当の経験が豊富なゲストへの質問が多くあげられていました。
まずは「インバウンド集客に関するアドバイス」。各国を旅しながらお仕事をしている方々なので、ビジネス目線の他にも観光客目線としてのアドバイスが挙げられていました。

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1年の半分は海外にいる伊佐知美さんは「外国人観光客の方は余白に恋をした方が多い印象ですね。滞在先の何気ない日常こそが素晴らしいと感じている方が多い。課題としては、先程三浦さんがおっしゃっていたように移動手段が分かりづらいように思います。どこかにあるっぽいけど、交通手段が分からず行くことができない・・。」
伊佐さんの意見に加え、岡さんは「私もAPU出身ですので別府の公共交通の不便さが身にしみてわかるんですよね。しかし交通インフラを良くするには、Uberなどのシェアリングエコノミーの活用を進めたりするなど、法的なハードルが出てきますね。」

また小泉さんの意見として「インバウンド対策をするなら、日本語の記事だけでなく英語の記事を書く必要がありますね。インターネットで調べたときに日本語のページしか出てこないので、海外の方はその記事読めません。最近の外国人観光客の方はInstagramのハッシュタグで検索をして行く場所を決める人も多いため、Instagramのタグも記事と同じく「#oita」とアルファベットで書くことによって外国の方からのリーチ数が上がるんじゃないのかなと思います。」
と情報の多言語化や交通手段はこれからの課題として考えているようです。

あまり費用をかけずに出来る、効果的なPR方法について

SNSの広告やPR用の動画作成など、しっかり宣伝をしようとすると費用がかさんでしまうという誰もが頭を抱えている疑問について、PR・広報の知見があるゲストの方々に伺いました。回答としては、自分自身で出来る「instagramやtwitterなどのSNSの活用」についてや、「インフルエンサーとアンバサダーは別物」という話、「Iターン移住者や留学生を都市と観光客の媒介者の一人と位置付ける」などの回答があがってきました。詳しい内容は、大分カイコウgroupに資料をアップしています。大分にゆかりのある方が参加できる非公開のグループですので、対象となる方は是非ご参加ください。https://www.facebook.com/groups/oitakaikou/

まとめ

今回の大分カイコウcamp Vol.2では、「観光」についての講演やトークセッションにより、ちょっとした疑問が解消できたのではないでしょうか?
次回は12月12日(木)別府市鉄輪の冨士屋Gallery一也百-はなやもも-で「アウトバウンド」~大分の魅力ある商品を海外へ販路開拓するには?~をテーマに開催する予定です。興味のある方はぜひお越しください。詳細はこちらからご覧いただけます。https://www.facebook.com/events/2022217937881188/