大分カイコウ OITAKAIKOU

REPORT

Case

2021.01.07

【大分カイコウCase】 さいき・あまべ食べる通信とおうちごはんのコラボレーション さいき・あまべ食べる通信平川摂氏/ × トレンダーズ株式会社

大分カイコウでコラボレーションが実現した、さいき・あまべ食べる通信の平川摂氏と
トレンダーズ株式会社との取り組み事例を紹介したい。

平川氏は大分県佐伯市出身で、大学卒業後、関西で20年ほど企業に努めており、2011年頃に地元の佐伯に戻ってきた。
今はひじきやわかめの製造加工などを行う株式会社ベースの代表と、読み物と食べ物が1つになった
体験型の定期購読誌の「
さいき・あまべ食べる通信」の編集長を勤めている。

製造加工と購読誌の編集は、一見別事業で関連がないように感じてしまうが、平川氏曰く、
(株)ベースと食べる通信はご自身の中では別のものとしてやっている感覚ではないとのこと。
”食”という軸は外さずに両事業を行っているそうだ。

昨今の水産業界を見ると、自然環境は著しく変化しており、魚や海藻などの海産物が年々減少傾向にあるとのことだ。
また、それを食べる人も減ってきていると平川氏は言う。
平川氏は食べる通信で、一次生産者である漁師や養殖業者、水産加工会社と取材をする機会が多いそうだが、
各事業者との取材を通してそのような話を聞くことが多いようだ。

多くの時間をかけて事業者へのヒアリングをしているため、食べる通信は年に4回しか発刊していない。
平川氏は生産者のもとへ足繁く通い、取材を重ねることで本音を引き出すことを意識している。
その中で生産者の人となりやこれまでの人生などが見え、それをもとに記事化していくとのこと。

良い記事、自分が満足でき、読み手が満足できる記事を書くためには、
取材相手との信頼関係構築に時間をかけることが重要と考えている。

一人ひとりの深い取材を通じ、食のプロフェッショナルたちの軌跡を記事化している。
取材の中で取材相手ご自身のやりたいことや悩みなどを打ち明けてくれる場面もあり、
そこで平川氏自身ができることの支援も行ったりするそうである。

 

平川氏は大分カイコウで、マーケティングPR事業を営むトレンダーズ株式会社の橋本奈々子氏と出会い、
それがきっかけでトレンダーズ運営のWEBメディア「おうちごはん」にて、
2020年4〜6月に佐伯の食材を使用した記事が連載されることとなったようだ。
「おうちごはん」とは、家でご飯を楽しむ方に向けて食卓を楽しくする情報を発信している媒体である。

このコラボのきっかけは、たまたま大分カイコウのオフラインイベントで近くにいた橋本氏と出会ったところからスタートした。
話を進めていくと、トレンダーズの役員の方が平川氏の元同期と言うことが判明したそうだ。
さらに、その役員の方の部下がトレンダーズの橋本氏にあたるそうで、偶然にそのような巡り合わせで
今回のコラボが実現することとなったそうだ。これこそまさしく、”邂逅”である。

寄せ合う力、熱量を持っている人間が間に入ることで、
佐伯という土地を好きになってもらいたいと、平川氏は力強く語ってくれた。

SNSが発達している昨今、情報は溢れているがその内容は薄く、また流されやすいものとなっているように感じる。
だが、平川氏のような熱い人間が深いヒアリングを行うことで、まるで一人の人生録を記したかのような記事が出来上がる。
取材者からも、その記事を墓場まで持っていきたいと言われることもあるそうで、
いかに深く一人の人間を取材しているかが分かるエピソードである。

人やモノ・コトを大切にする平川氏の発信やつなぎは、人間関係が希薄化しているこの時代において、
さらに重要になってくるのではと気づかせてくれる。

食べる通信で生産者を知ってもらい、新たな人とつながり、
そこからさらに新たなつながりを紡ぎ出す平川氏の活動に、今後も目が離せない。
大分カイコウでは新たな出会いやつながりを創出する場として、今後ともこの活動を永く見守っていきたい。

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